2002年8月10日
散歩する人の足音で目が覚める。5:30、旅に出るといつも早起きだ。飯を食いテントを片づける。
そうすると一人のじいさまに話かけられた。白いおいずるを見て巡礼者だと気付いたからのようだ。じいさま曰く女は顔で選ぶな!と言うことらしい。(なんのこっちゃ!?)結婚するのに適した女性と一緒に遊んで楽しい女性は違うのだ!と、ご老人特有の無限ループに陥りながらも力説していらっしゃった。結婚するなら一緒に巡礼に周ってくれる様な女性がいいぞとアドバイスも頂く。確かに正論だなと思いながら出発の準備を進める。
最後に若いのに巡礼するとは感心したと言って\3000くれた。断ったのだがもうお参りに行きたくても体力がないので代わりに行ってきてくれとまで言われては断りようがない。ありがたく受け取る。今日のお参りでは一番目にこのじっちゃんの健康と幸福を祈願することにした。
じっちゃんに別れを告げて今日の巡礼が始まる。昨日と同じくコインロッカーに荷物を預けて31番札所を目指す。
今日周る予定の31番から34番まではそれぞれの札所間に距離がありアップダウンも激しい。秩父34か所を周るにあたってかなり巡礼者を悩ませる場所である。
国道140号線を影森へ向かい右折、巴橋を渡り県道209号線で秩父ミューズパークへ向かう。県道209号線からミューズパーク入口までがずっと登り坂。まだ朝早いので日差しはそれほど強くない。小鳥のさえずりと蝉の鳴き声が聞こえる。途中から自転車を下りて押して行く。西武秩父駅を出発する事、約45分。やっと秩父ミューズパーク入口に着く。
ここからは下り坂。全く漕ぐことなく前へぐんぐん進む。自転車はこれがあるから楽だ。32番札所の近くを通り過ぎて更に進む。
注・・・秩父市内から31番へ向かう途中に32番札所がある。32番->31番と周るのが効率的。順打ちを狙うならもちろんパスするべし!
31番へ行って戻ってくる道なので下見を兼ねて進んで行く。小鹿野市街を通り国道299号へ。小鹿野町のことはよくわからんがどうやら歌舞伎を売りにしているようだ。市街の至る所に看板があり町役場のバスにも「歌舞伎の町 小鹿野」と書いてあった。なぜ歌舞伎???
国道299号線に31番札所の看板があり右折する。そこからは再び上りだ。31番札所に行くまでに、なんとか観音と百地蔵がある。31番札所に到着したと勘違いするから勘弁してほしいなぁ。焦らしに焦らされやっと31番札所に到着!しかし、31番の観音堂に行くには仁王門をくぐってから更に296段の石段を上る必要があったのである。ホントに焦らすのがうまいぞ。31番観音院。(笑)
石段を登り切る。鐘を撞き、手を洗い口をすすぐ。そしてやっと観音様にお参りをする。う〜む市街からここまで長かった・・・。お参りを済ませて納経所でご朱印をもらう。納経所の人に奥の院を周ってきたらと勧められたのでぐるっと周り下山。来た道を戻り32番札所へ。
32番札所のお参りを済ませ33番札所へ。県道43号線、国道299号線、県道283号線と進んで行き33番札所の看板のある所で右へ曲がる。太陽が高くなりかなり暑くなってきた。
33番札所菊水寺。ここの本堂の壁には子供を間引きする絵と親孝行の絵が掛けられている。間引きの絵はすぐにわかったのだが親孝行の絵はかなり意味不明!?どんな絵かというと成人女性が年取ったじいちゃんに乳を吸わせている。あれって本当に親孝行の絵なんだろうか?援交の図と書いても通用するような気が・・・
33番札所から34番札所に向かう道の一つに札立峠越えがある。ここは徒歩巡礼路であり自転車で行くのは止めようと思っていた。しかし、34番札所の車向け道しるべを参考にして自転車を漕いで行ったのに、札立峠入口の看板に出会ってしまった。「あぁ観音様は札立峠越えをしろと言っているのか・・・」そんな気がして細い上り坂へ入って行く。
延々と長い上り坂が続く。道路はまだ舗装されている。人家もまばらにある。畜産をしているのだろう、強烈な臭いを放つ牛舎もある。休み休み上って行くと『ここから山道 水潜寺まで1時間半』の立て札を見つける。
さぁ行くぞと足を山道に踏み入れた時、麦わら帽に白いランニングのおじさんが上ってくるのが見えた。まだ少し距離はあったのだが「この山道で自転車に乗れる様な所はないよ」と優しく声を掛けられる。何の根拠もなしに「大丈夫ですよ、この自転車折り畳みできますから」と返す。「その自転車折り畳めるのか。。。それだったらいいか」と弱気に忠告してくれた。見ず知らずの人間に弱気に忠告してくれるなんて、いい人なんだろうな。
おじさんに別れを告げ山へ入る。山道だけあって下は石がゴロゴロしている。道幅は人が一人通るのがやっと。足を踏み外すと下へ転落する。そんな道を自転車と共に挑む。今考えると無謀だ(笑)
上りが続き足が辛くなってくる。顔の周りに小さな虫が飛び、目や鼻に入ってくる。石がゴロゴロしている所では自転車を持ち上げて進んで行く。景色を見る余裕はほとんどない。必死である。のどが渇く。水を持ってきていないので我慢するしかない。
限界が近くなり日陰で自転車を倒して休む。虫が顔にまとわりついてくるが風が心地良い。熱かった体が少しずつ冷やされる。そしてまた上り始める。ゆっくり、ゆっくりと。
そのうち坂が緩やかになり道が比較的平坦になる。調子に乗って自転車に乗るが崖から落ちそうになったので止める。死ぬかと思った(笑) 更に進むと右に廃屋が見える。その脇の道を上ると札立峠の看板がある。頂上だ。ここからやっと下りになる。ここからは早いはずだ。
しかし、私の考え通りには行かなかった。自転車のタイヤが下に転がっている岩に引っかかってなかなかスムーズに進まない。自転車を持ち上げてトロトロと下る。
下る途中にうまそうな湧き水が!少々躊躇するも、喉の渇きは如何ともしがたく飲む事にする。うまい。でも大当たりだったらどうしよう!?症状が出る前に人里に着かなければ!というわけで少しペースアップして下る。
お地蔵さんに出会い、少し進むと34番札所に着く。ハードな巡礼道のおかげで握力は弱り、足がふらふらしていた。山道では全く良い事のなかった自転車を表に止めて、この旅最後のお参りへ向かう。
34番水潜寺。秩父34か所の結願の場所。日本百観音の結願の場所でもある。だからだろうか、観音堂の脇には巡礼者が置いて行った菅笠や杖などの巡礼セットがたくさん残されている。
最後のお参りを済ませ観音堂奥にある洞窟、水くぐりの岩屋を通り抜ける。秩父巡礼が終わった後にここをくぐって帰るのがしきたり。この岩屋はかなり狭い。四つん這いになってやっと通れる位だ。太っている人は危険なので挑戦しない方が良いかも。(笑) そんな方の為に(?) ちゃんと代替策もあります。ご安心を。
納経堂で順番待ちをしていたらこちらのおばさまに麦茶をご馳走になった。順番が来てご朱印を頂く。これで納経帳に空欄が無くなる。やっと終わった。実感が湧いてくる。
感慨に浸っていると麦茶をくれたおばさまが少し休んでいったらと誘って下さった。お言葉に甘える事にする。麦茶3杯。小あられ4袋。菓子パン1つ。ご馳走になった。どうもありがとうございました。ここは良い所だ。
そして駅へ向かう。疲れた体に強い日差しとアスファルトの反射熱が襲いかかる。この道は長かった。やっと駅に着いて巡礼の装いから普通の格好に戻る。そして電車に乗り家へ向かう。次は坂東33か所に挑戦しようかな。巡礼の旅もなかなか良い。山道を自転車と共に行くのは秩父で卒業だけれども。