第一部 旅立ちそしてオリエンテへ
<旅立ち>
いつもと同じ時間に目を覚まして、いつもと同じように飯を食う。違うのは今日は遠くへ出掛ける事だけ。ホームステイ先の父親がバスターミナルまで送ってくれた。「気をつけて」と使い古された言葉をもらい彼と別れる。空の色はほとんど白だが所々に青も見える。旅立ちには物足りない天気だが良しとしよう。
汚いクエンカのバスターミナルへ足を踏み入れバスを探す。事前に何も調べていなかったが所々に立っている客引きにリオバンバと告げるとすぐにバスは見つかる。バスは外も中も綺麗で内装は青を基調としている。座席の配置は通路を挟んで2対2。これが10列あり全部で40人座れる。座席はほぼ満席で乗客は外国人旅行者風のが数人、残りはエクアドル人である。乗り込んで数分するとバスは走り出した。
<リオバンバへ>
クエンカの北東、約25KMにあるアソゲスまで良い道が続く。そこから先はくねくね曲がった山道を走らねばならない。道はアスファルトで舗装されているのだがメンテナンス状態が悪く至る所で穴を見かける。また所々崖崩れの跡があり土や小石が道路に撒き散らされている。道の脇に生えている植物は背の低い木や乾燥に強そうな草だ。草地は牛の放牧地に使われていて綱につながれた牛がのほほんと寝そべっている。
バスは通り道にある小さな村に止まり人を拾ったり降ろしたりして先へ進んでいく。車窓から見える村は壁を土で塗ったみすぼらしい家からレンガで組まれた新しい建物もある。途中、アラウシという鉄道駅のある町で数十分休憩をとる。休憩が終った後も延々と似た道を走りやがて広い盆地へ出る。最初はまばらに、次第にたくさん建物がバスの脇を通り過ぎる様になる。リオバンバだ。バスにターミナルの近くで降ろしてもらい中心部へ歩き出す。
<リオバンバ>
石造りの建物と舗装された道。思っていたよりも美しい所だ。どんどん歩いて行くと道が石畳に変わる。シエラの町のセントロは石畳の道が当然なのか。コロニアル風の建物が並び店もそこそこある。所々に教会や公園があり人々が集まっている。5 de Junio(6月5日)通りにずらっと露天が出ていたので歩く。土曜日がここのマーケットデーで広い範囲で市場が開かれるそうだ。衣料品、食料品、雑貨などの生活必需品から何に使うかわからない古タイヤ、わけのわからないガラクタまで売っていた。
鉄道駅の近くでガイドブックを頼りに宿を探す。ところが見つからない。(笑) あっちへふらふら今度は戻ってと非効率的な動きを繰り返し、結局たまたま見つけた宿へ。
レセプションに人がいないのでジリンジリンとベルを鳴らす。少し待つとけだるそうなおばちゃんが奥からのそのそと姿を現した。部屋があると言うので見せてもらう。3畳程度の広さにベッドがひとつと膝ぐらいまでの高さの物置台がある。窓は無く裸電球が天井からぶら下がっている。トイレとシャワーは共同。それぞれ分かれていてトイレは見せられた部屋より少し広く、洋式トイレとくず入れがある。トイレ紙は備え付けられていない。シャワーは水しか出なかったがガスを調整するから30分後にはお湯が出るとの事。これでUS$3也。シャワーを浴びて寝るだけの部屋なのでここに決める。
金を払い「レシートをくれ」と言ったら「後にしてくれ、飯食べるから」だと。レシートを書くのにそれ程時間はかからないのに何故?と思ったがまあいいかと思いメモ帳を取り出し「これに領収済みと書いてサインしろ」と言ったらすんなり書いてくれた。
この町のメインストリートである10 de Agosto(8月10日)通りは夜になると路上で酒を飲んだり騒いだりする輩が多い。私の宿のある鉄道駅前も危ない所で駅から南の方角は全体的に危ないそうだ。
<バーニョス>
リオバンバの北東、バスで約1時間にバーニョスと呼ばれる町がある。バーニョスとはスペイン語で風呂を意味する。名前の通り市内各所に温泉を引いたプールがあり有名な観光地である。オリエンテに下りる道の途中にあり寄る事にする。
バーニョスは多くの旅行者が歩き大いに栄えているのだが背の高い建物がなく街並み全体が古びた感じだ。趣があり好きな町だ。なんとなく雰囲気にさびれた日本の温泉街を感じる。小さなバギーが有料で貸し出されており所々で見かける。一日US$50,一時間US$10らしい。
バーニョスを見守る丘の上にビルヘン(守り神)が置かれている。高い所からバーニョスを見ようと思いビルヘンへ向かう。町外れから上り道が始まり勾配の急な階段や細い道を進まねばならない。階段の脇には白い手すりが続き、所々にキリストの絵が刻まれた石版やベンチが置かれている。休憩なしで約40分で到着。情けない事に最後は太ももに手を当てて無理やり足を動かし息が切れた状態であった。
近くで見たビルヘンは無残にも体中に落書きをされている。以前はビルヘンの脇まで行けたのだが落書きのおかげで通路が切られてしまった。罰当たりな事だ。上からバーニョスを見て狭い盆地にぎゅっと町を詰め込んだ感じだ。町のすぐ近くに滝があり川が流れている。この町で一番高い建物はシンボルである教会だ。象徴的な物が一番目立つようになっている。一番理想的な街づくりではないだろうか。
この町のシンボルである教会の2階は博物館になっている。キリスト教の偶像、神父がミサで着る華美な衣装、土器、タイプライター(?)などコンセプト不明の盛りだくさんな物が展示されている。中でも一番印象に残ったのが干し首!生まれて初めて生で見ました。頭蓋骨を抜かれ干され小さくなった黒ずんだ顔。髪はぼうぼうに伸び口は紐で縫われている。元々人間だったのが信じられない変わり様だ。興味のある方はここをクリックすると写真が見れます。他にもホルマリン漬けされた奇形の生物の展示もある。耳がロバのような豚、鼻が3つある牛など。これも夜、夢に出てきそうです。
<いざオリエンテへ>
バーニョスからバスでオリエンテへ向かう。噂だとここからプーヨに向かう道は悪路あり断崖絶壁ありで楽しめるらしい。4ヶ月ぶりに低地に下りて逆高山病にならねば良いが。。。ではいざオリエンテへ!
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