第一部 いざサンガイへ
サンガイに行くにはリオバンバを拠点にするのが一般的だ。ここから先に行くと大きな商店はないので買出しをしておくと良いだろう。サンガイ山を近くで見るルートを採るので町をぐっと南東に行ったバスターミナルからアラオ(Alao)方面行きのバスに乗る。ここからボロバスで約一時間走り終点へ。途中から道路がアスファルトから土に変わる。ワンボックス車に乗り換えアラオに向かう。このワゴンもオンボロ、道はなんとかすれ違いできる位の広さで両側は山と崖、家もほとんど無い。どこから出てくるかわからないがそれでも途中から人が乗ってくる。途中でエンスト。いつもの事らしく手際が良く前列のシートをはずして湧き水をラジエターに入れて応急修理。すぐに直って再び発車。やがて小さな村に入り教会の前で止まる。どうやらここが終点らしい。
村は山に囲まれ、かなり高い斜面まで畑が広がっている。村にはまばらに白が汚れて灰色になった平屋の家が建っていてヤギやヒツジが歩いている。
近くに歩いている人にどこから出発するか聞く。すると公園のレンジャーの所に連れて行かれた。地図はないらしくガイドを付けろと言われたが山頂まで行くつもりはなかったので断る。しつこくは勧められず入場料だけ払い入口を教えてもらった。
村を抜け細い道を歩きサンガイ山方面へ。途中小川を渡るのに長靴に履き替える。少し歩くと足に違和感が現れる。靴擦れを起こしたようだ、情けない。絆創膏を貼り再び歩き始める。三時間ほど川沿いを歩き子供がいたのでサンガイ山までどれ位かかるか聞くと方向が違うらしい。途中の道の無い斜面で曲がらなければいけなかったようだ。一時間戻り牛の放牧地を通り斜面を登り始める。途中で道はなくなり背の低い草の合間を歩く。草地から枝が複雑に絡まった森を抜け、腰より少し高い灰色の草が一面に生えた急斜面にたどり着く。
この斜面が曲者で上っても上っても全く頂上にたどり着かないのだ。靴擦れは痛み、足の感覚が少しずつ鈍くなってくる。歩き始めて六時間経過し、日没まで残り一時間強。食事の準備に十分な水をもっていなかったので泣く泣く下山を始める。下りは速いが足にかかる負担もかなりのもので踏ん張りが利かず尻もちをつきながら転がるように進む。それでも日没までに水場にたどり着くことができずに森に入ったところで辺りは真っ暗に。ヘッドライトを灯し戻ろうとするが完全に迷い、枝に絡まりながら強引に前進するのがやっと。
それでも何とか水場まで来たのは日没から一時間以上経ってから。空一面に星が瞬いていたがそれどころじゃなく、テントを張りラーメン作ってすぐに就寝した。
夜が開け、新しい朝が来る。昨夜はあれだけ星が見えていたのに灰色の雲が空を覆っている。朝飯を食いどうするか考える。昨日と同じ道を再び登るのは辛い、でもサンガイをもっと歩きたい。それならここから南に行けば整備中の国道があるからそこを歩いて縦断すれば目的を達成できる。そう考えアラオまで靴擦れして痛む足で二時間かけて戻った。
一時間以上待ったがアラオからリオバンバまで直通バスが出ていた。疲れていたのですぐに記憶がなくなり目が覚めたら既にリオバンバだった。